
常盤庵
Kunikida ituki
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2023.04.05
*Net text*
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Fantasy

火出づる国の娘
「ワタシタチヲ、カエシテ!!」
高校入学から 二週間目の朝。見知らぬ人物から呼び出しを受けた主人公・橘 瑠璃は雨粒に浮かんだ女の顔を見る。そして次の瞬間、目の前に現れた血塗れの女面は瑠璃に怨嗟の叫びを上げた。
「私達を、還して!!」
恐怖に慄く瑠璃の身体が宙に舞う。
屋上から突き落とされ死を覚悟した瑠璃が感じたのは衝撃ではなく、潮の匂いと水の感触だった。
水の力が勢力を誇る異世界帝国「ヌドマーナ」にて、力なき少女は生き抜いていく。

廃妃は愛しき腕に堕ちる
希代の悪妃として、処刑台へと誘う鐘の音を聞いていた王国イルギアナの王妃、オリヴィア。
しかし彼女の元に、王国の剣と呼ばれる武勇の騎士、ギルバート=ルデナ=アルシュダが現れる。
幼馴染みで戦友であった彼に、共に逃げようと提案されるも、オリヴィアは拒否。
自分は自業自得だから仕方が無い、だけど貴方には生きて欲しい、と願うがギルバートは「悪いが、その願いは聞けない」と告げて―――目覚めた時には、腕の中に囚われていた。
行き着くのは、悲劇か、幸福か。

旦那様、ご返品は却下です!
初夜当日、夫に逃げられた子爵令嬢リイナ=フォンターナは元は日本のOLさん。前世で搾取子だった彼女は過労死の末、異世界へと転生していた。政略結婚により商人クラッドの妻となった彼女だが、どうしてかクラッドはリイナに手を出そうとしない。
だから彼女は決心した。優しく紳士な夫に、なんとか振り向いてもらうために。そして「俺にそんな資格は無いんだ」と彼が告げた、言葉の意味を知るために。
前世で苦労したOLは、果たして異世界で幸せになれるのか―――
「想い出話をしましょう。私と、貴方とで」
Romance

雨に濡れた桜
心に傷を抱えた大人達の、最後の恋。
桜の季節。
二十七歳のお局OL、白沢茜(しろさわあかね)はいつも面倒な仕事を回してくる「能面課長」本庄に頭を悩ませていた。
休憩時間のベルが鳴ると決まって呼び止められ、雑用を言いつけられるのである。
けれどある日、その本庄課長と苦手な地下倉庫で二人きりになり、能面と呼ばれるほど表情の無い彼の意外な一面を知ることに。次の日にはまさかの食事に誘われて―――?

藍に堕ちて
三十二歳の兼業主婦、泉藍華(いずみらんか)は結婚六年目。 けれど、もう四年も夫とセックスレスだった。
残業を早めに終えて帰宅した彼女は、玄関から聞こえてきた夫と見知らぬ女の声に立ち尽くす。
夫に拒否され裏切られた藍華は、同僚に案内された染工房で顔に火傷の痕がある職人、蔵色蒅(くらしきすくも)に出会う。
二人は反発し合いながらも互いの傷に触れ、惹かれ合っていく。
薄い色ならまだ、引き返せた。
けれどもう、色は濃く深くなってしまって……

女神が指揮する美容室
貴方は、知っているだろうか。
ある街の場所に、女神の名を冠する一軒の店がある。
その店の名は「AFRODITE」(アフロディーテ)。
かのオリュンポス十二神に名を連ね、美と愛を司る女神の一柱として名を馳せる。
美において誇り高く、また戦の女神としての側面も持つ美神の名を持つその店は、名の通り人を美しくする事を生業としている。
『必ず綺麗になれる美容室』と評判の店は、現代の瓦版とも言うべきSNSなどを通じて、密かに静かに女性達の間で噂されていた。
Japan Fantasy

ぼくと世捨て人
このじいさん、百怪辞典。
「小学六年生の藤堂円(とうどうまどか)は両親の離婚によってこれまで一切関わりのなかった祖父、藤堂栄一郎(とうどうえいいちろう)のもとにやっかい払いされてしまう。
しかし、どうもこのじいさん、只者では無いようで―――?
陰陽道に通じ、俗世に住む妖怪達の世話をしながら小料理屋を営む『世捨て人』と、親に捨てられ世の中が大嫌いになった『ぼく』とのちょっと不思議な日常物語。
大事なのは、あちら?こちら?

おひとりさまは思念遣い
枯れOLでアラサーの橙子には死んだ人の思念が見える。
昔はよくいじめられたがおかげで強くなった。
人間は生きても死んでも面倒臭いと辟易し、齢二十五にして「おひとりさま」として生きると決めていた。
そんな橙子が暮らしているのはただ一人の理解者であった祖母・墨子の残した古民家である。
だだ広い庭の草むしりに今日も精を出していたところ、突然目の前に老人が現れて―――?
幸せって? 恋愛って?
人に疲れた橙子の、出会いと別れと、ときどき、恋。

碧玉ノ永帝
産まれると同時に母親を亡くした少年、武ノ森曜(たけのもりよう)は、毎年誕生日に父親から渡される母の手紙を心待ちにしていた。
毎年優しい言葉で紡がれる母の言葉が、しかし十四歳を迎えた今日だけは違っていた。
【貴方が母の腹に居た時、母は一つの賭けをしました。それは貴方は勿論のこと、周囲の全てを巻き込む、とてつ もなく分の悪い賭けでした。】
首を傾げる曜の目に、母の文字で綴られた『永帝』という言葉が映る。
やがて心臓に埋め込まれた碧の玉は、目覚めを迎える。